痴漢は犯罪です!


近年痴漢に関する事件が大変話題となっています。痴漢が大好きな人もそんなに好きじゃない人も、
痴漢に関する知識は身につけておいた方が身の為のようですね。

痴漢(ちかん)行為をしてしまったとき
痴漢容疑で検挙されてしまったとき

  1. 満員電車の中で女性の体に触れてしまって、現行犯逮捕されたとき、あなたに適用される可能性のある法令は二つあります。
    ひとつは刑法の強制わいせつ罪(刑法176条)、もう一つは迷惑防止条例違反です。どちらの法律が適用されるか、明確な基準はありませんが、下着の上から女性の体に触れた場合が迷惑防止条例違反で、下着の中に手を入れて女性に恥ずかしい思いをさせた場合が強制わいせつ罪、というのがひとつの目安と思います。
    迷惑防止条例違反であれば、略式起訴手続で数日以内に釈放される場合もありますが、常習犯(通常は3回目以上といわれています)の場合は、通常起訴手続の公判請求されるおそれが高くなってしまいます。
  2. 現行犯逮捕されると、通常は起訴されるまで(最長で23日間以内)釈放されることはありませんので、会社を無断欠勤することにもなりかねませんし、有罪が確定すると会社を懲戒解雇になるおそれもあります(ほとんどの会社の就業規則で規定されています)。
    そこで、弁護士が在宅での起訴や、略式起訴を求めて検察官や刑事と折衝を続けていくことになります。
    また、被害者の方と連絡を取り、謝罪の意思を伝えて、示談を成立させ、被害届や告訴状を取り下げてもらうことで、検察官の不起訴処分を勝ち取ることもできます。
  3. 一刻でも早く謝罪の意思を伝え、被害者との示談を成立させることが重要です。

  4. なお、迷惑防止条例は、平成13年9月1日施行で改正され、初犯でも6ヶ月の懲役がつく可能性があり、常習の場合は最長1年の懲役刑が規定されました。痴漢被害の撲滅を目指して条例が改正されましたので、取り締まりの強化が予想されます。
  5. 痴漢行為の意図も事実も無かった場合(いわゆる冤罪事案)でも、被害者が強く訴えている場合は、手続きが進められてしまうことがあります。このような場合の対応は慎重を要します。
    闇雲に全面否認や全面黙秘をして冤罪のみ主張し続けて、被害者を批判したりすることが必ずしも得策とは言えません。担当警察・検察を通じて被害者に連絡を取り、折衝することにより誤解を解くことができる場合もあります。
    否認事件の場合には、弁護士が接見した時に供述録取書を作成し、これに被疑者の署名捺印を行い、かつ、公証役場で確定日付の付与を行い、更に、弁護人の意見書を作成し、勾留決定に対する準抗告の申立書類として裁判所に提出し、後日、刑事訴訟法322条の書面として公判に提出できる様準備(意見書は立証趣旨を起訴前弁護活動の経過とする)しておき、これを検察官、担当警察官にも報告(送付、FAX)しておくことが不起訴処分を得るのに有効な場合もあります。至急弁護人と協議しましょう。
  6. 条文参照-刑訴第322条

    被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。

    2  被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。

    同第319条

    強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。

    2  被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。

    3  前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

  7. 刑事事件に付随して、所轄警察から情報が出ることにより、事件のマスコミ報道や、職場等に対する連絡が行われてしまうこともあります。これについて、具体的な処理基準は法律では定められておりません。
    法律論でいうと、国民全体の知る権利(報道の自由、取材の自由)と、被疑者個人のプライバシー権の調整という問題ですが、公共的な社会的地位のある被疑者ですと、報道の必要性も高まってしまうことも事実です。
    そのような場合には、弁護人は、事件の態様や、民事被害弁償の状況や、本人の社会的更生の必要性などを、担当警察署に粘り強く説明し、一切外部に公表しないことが必要であると求めていくことが必要となります。

ボクはやってない! 痴漢に疑われたら?


もしもあなたが痴漢に間違えられたら……?

「それでもボクはやっていない」まさに映画と同じ悲劇が起こりうるのです。
警視庁が「痴漢撲滅キャンペーン」をおこない、鉄道各社は女性専用車両を設置するなど、世間では、痴漢行為の追放のための努力がなされています。
たしかに、自身のゆがんだ欲望を満たすために、か弱い女性をターゲットにする痴漢行為は、極めて卑劣で悪質な犯罪行為であるといえるでしょう。
しかし、最近では、まったく身に覚えのない男性が痴漢と間違えられるケースが続出しています。

被害を受けた女性が、近くにいた別の男性を犯人と勘違いするケースもあれば、最初から痴漢行為など存在しないのに、示談金を目当てに、うその痴漢行為をでっちあげるというようなひどいケースもあるようです。
過去には、車内で携帯電話の使用を注意されたことを逆恨みして、注意した男性を痴漢であると訴えたという例もありました。
身に覚えがないのに、「この人、痴漢です!」と指摘されてしまった場合にどう対処するべきか。
知っていると知らないとでは大違いです。もはや他人事ではありません。

駅事務所に行ってはいけない!

やましいことはないと言って、駅事務所に行ってはいけません。名刺を渡してその場から去ることが賢い選択です。
女性から痴漢だと指摘された場合、自分は何もしていないのだから、駅員の前で身の潔白を証明しようと考える人がいます。しかし、それは得策ではありません。鉄道会社では、痴漢のマニュアルが用意されているのが通常であり、あなたの言い分など一切聞かずに鉄道警察に突き出されてしまうからです。
警察に突き出されてしまったら、その場で現行犯逮捕され、その後否認を続ける限り、警察の留置場での約3週間の勾留生活が待ち構えています。勤め人ならば、これだけで会社をクビになる危険性すらあります。

ですから、駅事務所に行ってはいけません。

痴漢だと騒がれたら、名刺を渡すなどして女性にあなたの連絡先を伝え、とにかくその場を立ち去ることが大切です。いったん現場を離れれば、警察は逮捕状をとらなければ逮捕できません。うその被害申告ならば、その後、逮捕状はでない可能性が高いといえます。

逮捕されてしまったら?

では、逮捕されてしまったらどうすれば良いでしょうか?逮捕後も犯罪事実を否認する場合には、約3週間の勾留期間満了後に、裁判にかけられます。
裁判で無罪を主張するのは大変なことです。残念ながら、裁判官は被害女性の証言しか信用しないことが多く、無罪を勝ち取れる可能性は極めて低いのが実情です。また、裁判は長期に及び、1〜2年間程度は、拘置所での生活を覚悟しなければなりません。
他方で、下着に手を入れるなど悪質な場合を除き、痴漢の事実を認めれば、罰金で済むことが多いでしょう。被害者と示談が成立すれば、不起訴になる場合もあります。

ですから、実際には痴漢をしていなくても、無罪を主張して1〜2年間も身柄を拘束されるよりは、痴漢をしたことにしてしまって罰金で終わらせたほうが良いという判断も十分にあり得るのです。
なんともやりきれないですが、おそろしいことにこれが現実なのです。

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